証券ビュー

相場であるが 相場でない相場 (2015.11.06)

昭和の風林史(昭和四八年十月二四日掲載分)  
小豆相場を強気している人の言っている事のすべてが
その通りだが、だからよけいに強気になれん。

「子に渡す双眼鏡や鶴来る 喜代子」

近所の酒屋が麦酒が値上げになるので買っておきませんか
と注文を取りに来た。
キリンは値上げしないから、買い溜めする必要はない
―と言うと小売店の段階で
自主的にキリンも値上げしますと言う。

会社のほうにも出入りの酒屋が来た。
キリンも値上げしますからと言う。

キリン麦酒の佐藤保三郎社長は
手持ちの安い原料で作れる今期(来年一月まで)中は値上げしない
と言明していながらビールは公定価格でも再販価格でもないから
末端の価格については責任がもてない―と言う。

中東戦争が始まった時、
暖房用の灯油のひと冬分使用量を計算して契約させたら、
まずドラム缶を一本持ってきた。
二本目は値段がまだ判らないが、
現品を持ってきておこうかという。
計算すると、あまり安い勘定ではない。
問えば、ドラム缶の代金と
トラック運送料金がはいっているのだという。
ドラム缶を二本も三本も
狭い庭に置いてあるのを近所の人々に知られたら、
きっと問題が持ち上がる危険があるのでやめにした。

わが家のトイレのそばに、
ちり紙の梱包が天井までぎっしり積み上げてある。
それなのに、また背丈ほど買い込んで
通路は横向きにならないと通れない。
いい加減にしろと言えば、
年内に、もう二回値上がりするのだと言う。
火がついたらこの家は
さぞかしよく燃えることだろうと思う。

小豆相場が下がらないのも判らぬことではない。
なにかモノにしておおきたい心理が浸透しきっている。
特に戦中、戦後の物資不足時代を経験してきた年代は
生活必需物資をストックすることに異常である。
石ケン、洗剤、食油、味の素など
数年分を溜めているのではないかと思う。

その点、先物市場での買いヘッジは、
場所をとらない。
いつでも手仕舞い出来る。流通性がある。

小豆の在庫が豊富であろうと、豊作であろうと、
価格はすべて高騰する時代に逆らって
相場を弱気するのは
現代の経済を知らなさすぎるのであると言えようが、
筆者はこの小豆相場を強気する気にはとてもなれない。

●編集部註
ようやく、文章内に物価高騰の話が出てきた。

当欄を担当するにあたり、
もはや必携となった朝日文庫の「戦後値段史年表」を
ここでひらく。

昭和四五年十月の麦酒大瓶一本の小売価格は一四〇円。
それがこの年の十月に一六〇円になった。

現在はその倍くらいか。

【昭和四八年十月二三日小豆三月限大阪一万四一一〇円・二六〇円高/東京一万四〇〇〇円・一三〇円高】

郵政上場成功し光明 手詰まりで大半戻り売りが賢明 (2015.11.06)

予想以上に堅調。後場も賑わった。前日の郵政グループ上場成功が主因。売買回数22万といわれ大フィーバー。日計りで回転が利いたせいか、主力のほか中小型株も人気化。

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人気化しない 釈然とせぬから (2015.11.05)

昭和の風林史(昭和四八年十月二三日掲載分) 

商品全般から見ると小豆相場に、
もうひとつ人気がない。
釈然としないものがいつもあるからだ。

「秋ふかし枯木にまじる鹿の脚 青々」 

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現実の中にある真理 郵政上場が成功し売りたい強気 (2015.11.05)

急反発で始まり引け伸び悩んだ。一時、日経平均468円高。米株高に原油高を好感し、郵政グループ上場成功に伴う買い戻しとみられる。後場中頃から息切れ。

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マリファナ相場 まさにサイケ調 (2015.11.04)

昭和の風林史(昭和四八年十月二二日掲載分)

サイケ調のマリファナの幻覚相場である。
筆者は好みに合わないから強気などしない。

「残菊に北山しぐれほしいまま い花」

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