証券ビュー

秋風落莫凄惨 雨中また涙あり (2016.09.30)

昭和の風林史(昭和四九年九月二五日掲載分)
秋風落莫凄惨 雨中また涙あり

買い方に、とどめを刺した百六十一万俵という数字は、
ついてまわるだろう。索漠たる市場だ。
「見上げ行く葛の絶壁輪島岬 花谷」
小豆の百六十一万俵収穫予想数字は、
小豆相場を考える上において、
これからいやが応でもついてまわるもので
強弱の境界線に
大きな楔(くさび)を打ち込んだ格好である。

新穀に、旧穀の在庫量と輸入小豆と
府県産小豆等を加えて、
年間予想消費量を差し引くと、
来年の十月は七十万俵の繰り越し量になるだろう
という計算が成り立つ。
七十万俵といえば、
昨年十月の繰り越し在庫量と同じ数字である。
昨年秋から今年にかけては市場に、
まだ過剰流動性資金が存在していた。
石油危機、食糧不足、異常気象、
インフレ物価高という背景のもと、
旺盛な仮需要により、
七十万俵の繰り越し在庫量は、
それほど圧迫感をもたらさなかった。

ところが、いま、出来秋に、
向こう一年も、やはり供給過剰、
在庫圧迫が続くであろうという数字を
目の前に突きつけられては、
ゲンナリする人が多い。
時あたかも未曾有の不況期。
金詰まりは厳しく、
仮需要の花の咲く季節ではない。

買い方、最後のお願いである降霜も、
天は敗者に味方せず、
降霜被害を念ずるなど、
不都合なる了見といわんばかり。
買い方は、
櫛の歯を引く如く投げている。
夏の暑い盛りに建てた玉を
秋風と共に処分する。
嗚呼、また我れ破れたり―と。
痛憤すれど、やる方なし。
勝敗まさしく時の運。

市場人気は、判りやすい相場と見ている。
戻れば成り行き売り―と。
先限の下値一万五千四百円あたり。
それ以下の値があれば、
目先的に小掬いの買い場。
大根時の大根。出盛り期の安値。
なにかの拍子で反発しても
一万七千四百円以上安心売り。

ただここで日柄の面で、下げ止まるところ。
生産者コストから見て
産地は売り急ぎはしない。ホクレンの出荷調整。
人手不足による出回り遅れ。鎌入れ不足。
相場内部要因の改善。
明年の大幅な作付け面積減反と、
大冷害の回り年ということを考慮した長期思惑など、
強気のよりどころにする灯火(ともしび)は
まだ消えてはいない事を知っておくべきだろう。

●編集部註
昭和四十九年九月最終週は、
小豆買い方の嘆き節で終わる週となる。

是非に及ばず、それはそれ。
次の展開近しと睨み綴るは相場師の勘なり。
実際そうなるのだが、大概その時は金がない。

【昭和四九年九月二四日小豆二月限大阪一万六〇三〇円・三九〇円安/東京一万六一五〇円・三七〇円安】

延長上に米大統領選 9日NYダウ394ドル安が初動 (2016.09.30)

先物主導で反発。日経平均一時291円高。引けが甘く物足りない。買い戻し一巡とみられ日計りの印象。前日売られた主力が買われ、買われた中小型が売られ、日経平均差し引きイーブン。鯨幕相場になってきた。

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2016年10月 (2016.09.29)


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「狗尾草 風雨跡なく曲がりけり」  蛇笏 (2016.09.29)

昭和の風林史(昭和四九年九月二四日掲載分)
信じ難い作況 だが下値に限界
百六十一万俵収穫予想のショックは大きかった。
24日もS安だろうが投げ終われば反省高に転じよう。
「えのこ草風雨あとなく曲がりけり 蛇笏」
小豆の反収二・六三俵予想に、市場はたまげた。
収穫百六十一万俵。
百三十五万俵ないし百四十五万俵という範囲の中
で考えられていた相場だけに〝指数一〇三、やや良〟は
信じ難い作況だ。
20日は小豆ストップ安。一万五千円が言われた。

手亡反収二・六一俵収穫四十五万俵は、
だいたい予想されていた数字であるが、
小豆安に同調した。
小豆の需給感が根底から変わるのである。

当面、一万七千円台を地合いで買った玉の投げが
値を崩すだろう。

しかし値段が安くなれば、
百六十一万俵予想に疑問を持つ人もふえてこよう。
また、三連休の間に冷え込みがきつく
降霜被害などあれば人気は急変する。
休みのあいだに、たいした降霜もなく、
刈り取りが着実に進むようなら
休日明けは、20日のS安で投げられなかった玉が
一度に出て、24日もS安だろう。

市場で言われる一万五千円相場は、
生産者側にとって不満な値段だ。
本当に百六十一万俵なら
ホクレン筋も出荷を調整するだろうし、
農家も売り急ぐことはない。

三日間の休みのあいだに、
人気が落ち着きを取り戻すかどうか。
休みの間に人々は、
いろいろなことを考えるだろう。
相場の微妙なところである。
仮に休日明けもS安なら、
案外、利食いと新規買いが入って、
大引けは強力に反発する可能性もある。

当限九月限の高値が一万七千七百四十円。
この三割安地点が一万二千四百二十円。
一応下値の目途である。
この値に当先のサヤ三千円と見るなら
先限一万五千四百円になる。

先限引き継ぎ最高値一万九千八百四十円の三割安なら
一万三千八百八十円。
そういう値が瞬間的にもあるかないかという事。
本年の小豆の反当たり生産費は二万五千七百円で、
この値には生産者の利益が入っていない。
仮に反当たり一万円と見ても三万五千七百円を必要とする。
反収二・六俵なら一俵当たり一万三千七百円。
調整費、運賃等最低二千円と見て
一万五千七百円はギリギリの線だ。
本年は人手不足で出回りも遅れそうだ。

●編集部注
昭和四九年九月第三週末の小豆はストップ安。
その翌週、相場は売り方を喜ばせ、
買い方の心を折る下げ模様を見せる。
思惑が膨らめば商いも膨らむ。最終局面である。

【昭和四九年九月二十日小豆二月限大阪一万六四二〇円・七〇〇円安/東京一万六五二〇円・七〇〇円安】

12月利上げ張子の虎に 米大統領選まで生かさず殺さず (2016.09.29)

権利落ちが響き反落。日経平均一時298円安。引け小戻した。日銀が「総括的な検証」を発表して4営業日目。検証が意味をもたない上、マイナス金利深掘りや長期金利ゼロ誘導が引き締めとみられ安い。

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