証券ビュー

昭和の風林史 (昭和四七年一月三十一日掲載分) (2014.02.20)

決然売り断行 ようやく暴落へ

小豆相場の雲行きがあやしくなってきた。

かなりきつい下げ場面にはいるようだ。

決然売り。

「帰り来しわが家の門や日脚伸ぶ 宗作」

週末は東京では土井、

大阪では西山氏売りの大石が踏んでいた。

この踏みに向かって太平洋、丸梅、

大阪では松亀、和歌山、脇田などが利食い。

相場もようやく先が見えたようだ。

商社筋によると数日来、

香港経由で中国小豆の商談が四、五百㌧契約されたようだ。

買い付けたのは三晶系で

百七十三~百八十八ポンド(天津)に

プレミアム三ポンドを上乗せしたようだ。

これは昨年秋、香港筋が

交易会で買い付けた手持ち在庫を処分したものらしい。

ところで、前週後半(納会後)かなりの煎(い)れが出た。

市場人気も、にわかに強くなり

一万六千円一万七千円が言われるようになった。

押し目らしい押し目なしで棒に立った相場だけに、

このあたりで五、七百円の押し目を構成してもよいという空気だが、

雲行きは、押し目などというものではなく、

月末、新ポにかけて大崩に直結しそうである。

週明けは、目先筋の利食い急ぎになりそうだ。

線型も、典型的な頭打ちの格好となった。

土曜の引け味では、月曜、あるいは夜放れ安を思わせるのであった。

東京市場は先二本を意識的に陽動した形跡もあるが、

満れば欠くるは世のならい。

一杯一杯買い上げた相場は、

どれほど支えようと勝手に崩れるものである。

さて、月曜の相場を考えてみよう。

(週末の引けから)百円~百五十円の上寄り後、

下げるようなら新ポから棒下げにはいる。

(週末の引けから)下放れて安寄りするようなら、

あと小戻しても大下げにつながる。

この小戻し場面は判りやすい絶好の売り場になる。

(週末の引け)と同値に寄るようなら、

ある程度買い方の突き上げ工作もあろうが

新ポ安につながってしまう。

この下げは、押し目でなく千五百丁安。

一万四千円割れに折れ込んでいくと見る。

そして悪材料が次々と出現するだろう。

下げに拍車をかけることになるし

買い方の利食い急ぎと、押し目買いが交差するだろう。

●編集部注
海外の投資銀行で、

長年ファンドマネージャーとして活躍してきた人間から聞いた話。

彼は石部金吉揃いの銀行内で

柔軟な対応が求められる相場師だが、

部下は銀行員の中から選ぶ。

では、どんな人物をリクルートするのか。

真っ先に「論理的に相場を考える人物」を引っ張ってくるのだという。

では〝論理的に相場を考える〟とは何か。

今日の記事がその好例だ。

相場の当たり外れは全く関係ないのだという。

【昭和四七年一月二九日小豆六月限大阪二六〇円安/東京一五〇円安】